私と彼と彼のアンドロイド

「ただいま」
「お帰りなさい」
 ダイニングからひょいと顔を出した音緒は、驚いてぱたぱたとスリッパを鳴らして駆けて来た。

「光稀さん、どうしたの?」
 驚く音緒に、光稀は照れて頭をかいた。

 美容室では髪だけではなく眉も整えてもらった。鏡で見たときにはイケメン俳優と同じ髪型だと驚いたし、眉を整えるだけでこんなに印象が変わることにも驚いた。
 眼鏡も新調したし、服はショップ店員にカジュアルなものを選んでもらった。太鼓判を押してもらった姿は自分でも見違えた。

「身なりを整えろと同僚に言われてさ。似合うかな」
「似合うよ。素敵!」
「良かった」
 光稀は内心で「うおおおお!」と喜びの雄たけびを上げながら、平静を装う。

 彼女を見ると、うっとりした顔の彼女と目が合って、慌てて目を逸らした。
 あんな目で見られたら、自分が好かれているのかと錯覚してしまう。親しいお兄さんくらいの感情しかないのだろうから、自惚れてはダメだ。
 彼女の用意したごはんを食べる間も、光稀はどきどきが止まらなかった。

***

 翌日、午前の授業を終えた音緒は希世と大翔と一緒に学食に行った。同じ一般教養をとっていたから、この授業の日はたいてい一緒に昼食をとる。
 三人とも本日のランチであるとんかつ定食を買い、トレイに載せて席に着く。音緒と希世が隣同士で座り、正面には大翔が座る。