「我が家の旦那様、今度はなにを作ろうとしたの?」
「自動ベーコンエッグ作成機。実験では上手くいったんだよ」
言いながら機械に触り、あち! と手を引っ込めている。
「音緒ちゃんも大学二年で忙しいだろうし、楽をしてもらいたくて」
「それでロボット?」
「将来を考えて、僕が料理を習得するよりロボットのほうがいいと思ったんだ」
しょんぼりする彼が年上なのにかわいくて、音緒はくすっと笑う。
「シャワー浴びて来て。ご飯作るから」
「ありがとう。これはあとで片付けるから。清掃業者も呼ぶよ」
台所のガスや電気、家電製品が無事であることを確認した彼はとぼとぼと浴室に向かい、音緒は朝食を作り始めた。トーストに目玉焼き、ウインナー、レタスサラダ、コーヒー。簡単なメニューだが、シャワーを終えた光稀は喜んで食べてくれた。
登校の準備を終えると、午前の休みをとった彼が大学まで車で送ってくれた。車は国産の黒いリクサス。グレードが高いらしくて乗り心地がいい。外見はクラシカルでヨーロピアンな風情がある。
授業を真面目に受けた放課後、音緒はクラブ棟に向かった。一室の扉を開けると、何人かの部員がいてお互いに話をしたり絵を描いたりしている。
「おお、来た来た!」
仲の良い女性がタブレットから顔を上げて音緒に声をかけてくる。
「希世、また授業さぼった?」
「筆が乗っちゃってさあ」
タブレットにタッチペンを走らせながら徳中希世が答えた。ショートカットの茶色の髪は今日も元気にはねている。
彼女は国文科の学生だ。心理学科の音緒とはこの部活で知り合い、仲良くしている。
「自動ベーコンエッグ作成機。実験では上手くいったんだよ」
言いながら機械に触り、あち! と手を引っ込めている。
「音緒ちゃんも大学二年で忙しいだろうし、楽をしてもらいたくて」
「それでロボット?」
「将来を考えて、僕が料理を習得するよりロボットのほうがいいと思ったんだ」
しょんぼりする彼が年上なのにかわいくて、音緒はくすっと笑う。
「シャワー浴びて来て。ご飯作るから」
「ありがとう。これはあとで片付けるから。清掃業者も呼ぶよ」
台所のガスや電気、家電製品が無事であることを確認した彼はとぼとぼと浴室に向かい、音緒は朝食を作り始めた。トーストに目玉焼き、ウインナー、レタスサラダ、コーヒー。簡単なメニューだが、シャワーを終えた光稀は喜んで食べてくれた。
登校の準備を終えると、午前の休みをとった彼が大学まで車で送ってくれた。車は国産の黒いリクサス。グレードが高いらしくて乗り心地がいい。外見はクラシカルでヨーロピアンな風情がある。
授業を真面目に受けた放課後、音緒はクラブ棟に向かった。一室の扉を開けると、何人かの部員がいてお互いに話をしたり絵を描いたりしている。
「おお、来た来た!」
仲の良い女性がタブレットから顔を上げて音緒に声をかけてくる。
「希世、また授業さぼった?」
「筆が乗っちゃってさあ」
タブレットにタッチペンを走らせながら徳中希世が答えた。ショートカットの茶色の髪は今日も元気にはねている。
彼女は国文科の学生だ。心理学科の音緒とはこの部活で知り合い、仲良くしている。

