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翌日、授業の空き時間に部室にいた音緒は机に突っ伏していた。
その前では希世がタブレットで音緒の姿をスケッチしていて、大翔がマンガを読んでいる。
「……というわけなの」
「悩殺大作戦は失敗かあ」
「うん……ダメージでかい」
はあ、とため息をこぼすとげらげらと大翔が笑った。
「そいつ、本当は男が好きだったりしてな」
「え!?」
がばっと起き上がる音緒に、大翔は気圧されてのけぞる。
「希世の描いてるマンガってそんなんばっかじゃん」
「その言い方は腹立つ」
抗議する希世に、大翔はふんっと笑う。
「どうしよ、もし本当にそうなら……」
「音緒もいちいち真に受けない!」
「からかいがいがあるよな」
にやにやと笑う大翔に、音緒はむっとして彼を見た。
「でもアンドロイドがいるのってチャンスかもよ」
閃いた、とばかりに希世が言う。
「どうして?」
「本人に聞けないこと聞いてみたら? だんなさんと同じ人格が入ってるんでしょ?」
「そっか……彼に知られずに本心を聞けるかも?」

