私と彼と彼のアンドロイド

 夜。
 お風呂から上がった音緒はミニ丈のネグリジェを着た。
 洗面所の鏡で自分を見た音緒は、足の露出が落ち着かなくて裾をぎゅっと握って伸ばす。

 ノースリーブで胸元が大きくあいていて、心許ない。裾はふんわり広がっていて、これまた防御力は限りなくゼロに見えた。油断すると下着が見えそうだ。

「変じゃないかな」
 今日の買い物ではミニスカートではなくこれを買った。希世にネグリジェならパジャマと一緒だと言われたが、慣れていないのでどきどきする。

「ミニ丈ならベビードールって言うんだっけ? ま、どっちでもいいや!」
 と豪快に笑った希世の顔が思い出される。人ごとだと思って、と軽く恨んだが、彼女の言うとおり、挑戦してみないとわからない。それにこれなら寝巻なのだと言い訳ができなくもない……かもしれない。

 リビングに行くと、光稀がソファに座ってテレビを見ていた。
 なんとなく忍び足になり、そっと隣に座る。
 が、彼はテレビをガン見していて自分に気が付かない。

「光稀さん」
 呼びかけるが、反応がない。
 おかしい、と思って覗き込むと、まったくまばたきをしていなかった。

「アンドロイドの光稀さんか……セカンドだっけ」
 がくりと肩を落としたときだった。