私と彼と彼のアンドロイド

「かわいいし、綺麗だと思うよ」
「ありがとうございます」
 横目でちらりと見ると音緒が嬉しそうに照れているから、大翔はそのまぶしさに目をそらした。

「お色気作戦してみたら?」
 希世のアイディアに、音緒は首をかしげる。

「色っぽい下着を着て迫るの」
「そんなのもってないし、はしたないって思われたら嫌だよ」

「自宅なら下着でうろちょろするのも普通じゃない?」
「私も彼もそんなことしない」
「マジかよ」
 大翔は目を丸くしてのけぞった。

「じゃあ、キャミソールで胸を強調してミニスカートで」
「ミニスカートは持ってない」

「帰りに買いにいこ! 色っぽいネグリジェでもいいな。セクシー悩殺作戦だ!」
「やめたほうがいいと思うけどな」
「先輩は水さしてばっかり!」
 ばちばちとにらみあう希世と大翔に、音緒はあわあわと慌てる。

「ケンカはやめてね」
「ケンカじゃないし。ねえ、状況を変えたいんだよね?」
「そうだけど……」
 希世に迫られ、音緒は言葉につまる。

「この前教えてくれたじゃん。好意の返報性を狙うの!」
「好意を向けられると好意を持ちやすいっていうやつね」

「だから挑戦あるのみ! 言葉にしづらいことは行動で!」
「行動で……」
 音緒は、ごくりと唾をのみこんだ。