月曜日の夕方、コンビニ前のベンチに浪は腰を下ろす。
フードを深く被り、夕陽に染まる街をぼんやり眺める。
今日も秀人が来るか、自然に通りを気にしている。

遠くで巡回の足音が近づき、秀人が姿を現す。
歩き方は落ち着き、柔らかい声が耳に届く。
「今日もここにいるのか」
浪は肩をすくめるだけで応じ、視線を逸らさず見つめた。

まだ体調の悪そうな前回から2日が経過し、見た感じは問題なさそうだと思いつつも、体調は大丈夫なのかと少し気になる。
無理をしていないか、自然に視線で確かめる。

そして、ぽつりと口を開く。
「今日は元気？」意識せずに出た言葉だが、秀人にはしっかり届く。
秀人は目を細め、穏やかに微笑む。
「元気だよ」その短い返答だけで、空気が少し柔らかくなる。

それでも立ちっぱなしは良くないと、浪はそっとベンチの隣に触れ、「座れば？」と声をかける。
秀人は小さく頷き、静かに腰を下ろす。
二人は並んで座り、夕陽に染まる街を初めて同じ視線で眺める。

言葉はそれだけだが、隣に並ぶことで自然と寄り添う。
表情を変えず、視線を前に向けたまま、静かに時間を共有する。

夕方の光が街を包み、遠くで車の音が響く中、七日目の夕方も、穏やかで落ち着いた空気が二人を優しく包んでいた。