隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 でもうまく立ち回らないと時間制限でゲームオーバー。
 ポイントさえわかっていれば、サクッと終われるクエストなのだ。
 アドバイスだけでも聞いてほしい。
 肩を落としていると、スマホが鳴った。母からである。
 「お父さんから聞いたわ」というメッセージに、少し身構えてしまう。

 「お父さん、峯岸さんに森田ホールディングスの取引を任せることにしたらしくって、
その分忙しくなってしまって、燕とデートできないないんじゃないかって、心配してるみたい。
 ちゃんと会えてる?」

 森田ホールディングス。と聞いて思い出すのは、あの旅館で会った橋本会長のことだ。
 父は、旧知の仲である橋本会長と峯岸を繋げるために、あの場を設けたのだろう。
 未来の婿候補と嘯いて橋本会長に峯岸を紹介している。
 だからこそ峯岸に任されたのだ。
 森田ホールディングスのような上場会社の顧客を任されるなど、峯岸にとってまたとない好機のはず。
 大口顧客を任されたこのタイミングで別れるのは、峯岸的に大ダメージである。
 そして有頂天になっている父の後頭部が、心労で薄くなるのは可哀想だ。

 仕方がない。少しは親孝行するか。
 軌道に乗るまで、それまではどうにかしのごう。