響け!永遠のレガート

ルチアーノがフランチェスカの肩に優しく触れる。彼女はルチアーノの手に自身の手を重ねた後、ポツリポツリと話し出す。

「二年ほど前から、高音を出すのが辛くなっていったんです。オペラ歌手は歌声が命。美しいソプラノで知られている私は、ソプラノが出せなくなってしまったらもうオペラ界で居場所はありません。汚い声をお客様に聴かせる前にオペラから離れたいと思って……」

フランチェスカの表情は暗い。決意は固まっているものの、心の片隅ではオペラの道から離れたくないという想いも少なからずあるのだろう。

「フランチェスカさん。あなたがオペラ歌手をやめると知っているのは、ルチアーノさん以外にいるんですか?」

レオンハルトの問いに、フランチェスカは少し考えてから答える。

「まだオペラハウスの支配人たちにも、同寮にも、お客様にも話していません。このことを話したのは両親とルチアーノだけです。でも、三人に話した直後にこんな脅迫状が来るようになって……」