響け!永遠のレガート

有名オペラ歌手の登場に、他の観客たちも騒ぎ出す。しかし、ステージ上のフランチェスカは動じることはなかった。笑みを浮かべ、美しい歌声を披露する。


愛はいつもあなたの隣に
光が降り注いだ秋の日に


ソプラノが会場中に響く。その歌声に誰もが聴き入っていた。レオンハルトの心も彼女の歌声に掴まれてしまう。

(リズの歌声とはまた違った美しさがある。フランチェスカさんの歌は力強い太陽のようで、リズは優しい月のようだ)

綺麗な声だね、そうレオンハルトはリズに話しかけようとした。しかし、リズの方を見て言葉が消えていく。リズは心配そうな顔でフランチェスカを見ていたのだ。

(どうしたんだ?彼女に何か問題が?)

レオンハルトはステージ上にいるフランチェスカを見つめる。観察してみるが、特におかしなところはない。その時、フランチェスカと視線が絡み合う。刹那、フランチェスカはハンドサインを見せた。

(あれは……「会いたかった」というサイン。やはりそうか)

レオンハルトの元に手紙を送ってきたのは、フランチェスカ・カルディナーレだったのである。