今まであまり考えたことのなかったことが、急に現実味を帯びて胸に迫る。
心の奥の小さな緊張と期待が、冬の冷たい風に混じって温かく広がった。

翌日の学校。雫は教室でノートを開くものの、心ここにあらず。

お昼休み、沙月と談笑しているはずなのに、視線はつい廊下や空のいる方向を探してしまう。

「雫、今日ちょっと様子変じゃない?」
沙月に言われ、顔を赤くしてうなずくしかできない。

休憩時間に廊下を歩いていると、偶然空とすれ違う。

「雫、どうした?元気ないみたいだけど」
『あ、う、うん……別に……』
ぎこちなく返す雫に、空はすぐに察する。


放課後、空は校門近くで雫を待っていた。
「雫、少し話そっか」
雫は小さく頷き、二人で歩き出す。

空は柔らかく笑いながら言った。


「冬休みも、ずっと一緒にいられて楽しかったね」



『……うん』

雫は少し照れくさそうに答える。