冬休みが明けた放課後、
雫と沙月は中々会えなかった冬休みの時間を埋めるように一緒に過ごしていた。


放課後、二人は駅前の小さなカフェへ向かって歩いていた。
街路樹の葉が冬の冷たい風に揺れる中、沙月は少しはしゃぐように話し出す。

「ねえねえ、雫! 聞いてよ! 蓮太郎と……その...しちゃった!」

沙月の顔は明るくて、笑顔が眩しい。目はキラキラして、胸の内の興奮がそのまま溢れていた。

雫は一瞬息を飲む。嬉しそうな沙月を見て、胸の奥がじんわり熱くなる。


『そっか!うん……よかったね』
声は自然に出たけれど、少し心臓が早くなるのを感じた。

沙月は目を輝かせて続ける。
「雫は冬休み、空とどう過ごしてたの?」

雫は頬を少し赤くして、それを隠すように口元に手を当てながら答える。
『うん……毎日一緒にいたよ。ほとんど空と一緒だった』


沙月は興味津々で顔をのぞき込み、声をひそめるようにする。

「えー、そっかそっか、楽しそう……それで……その先は?」

雫は照れくさそうに目を伏せ、ゆっくりと小さく答える。


『ううん……その先は……まだ……してない』

沙月は少し大げさに驚き、でも嬉しそうに笑った。
「へー、そっかあ! じゃあ、そろそろ準備しなきゃねー」

雫はその言葉にドキリとする。
——準備……って、私も……そろそろ意識しなきゃいけないのかも。