空はクローゼットを開けて、いつもの部屋着や、
雫が「好き」と言っていた淡いグレーのニットを取り出した。


雫はそれを見て、くすっと笑う。


『それ、私が“似合う”って言ったやつ』

「覚えてた? じゃあ、これ持ってく」

「雫の前で着たら、もっと褒めてもらえるかな〜」

そう言って微笑む空の顔に、雫の胸が温かくなる。


荷物をまとめ終えると、二人は再び手を繋いで外へ出た。


空気は冷たく、吐く息が白い。


けれどその距離の近さに、寒さよりも心の高鳴りの方が勝っていた。




「さ、冬休みのはじまりだね」


『うん、なんか、すごく楽しみ』


「俺も。……ずっと雫と過ごせるなんて、最高の冬休みだ。」