この命のすべてで、君を想いたい

帰り道、校門をくぐる前に、空はふと立ち止まる。

「雫、家まで送るよ」

『うん、ありがとう』
夜風が少し肌寒く、空の手がまたぎゅっと温かく感じる。

「来年もこうやって、一緒にいられたらいいな」


空の言葉に、雫の胸は少しきゅっとなる。


『うん……そうだね……』

空と手をつないだまま歩く帰り道。


夕焼けに染まる校舎の影を二人で眺めながら、

日常の延長のように、

でも特別な一日を静かに噛みしめた。