この命のすべてで、君を想いたい

その日の放課後、廊下を歩いていると、反対側から空が手を振った。


「雫、準備どう?疲れてない?」


『うん、大丈夫。そっちは?』


「粉だらけ。焼きそば班、地獄だよ」


空は笑いながら、
腕についた小麦粉を見せる。


雫は思わず吹き出しそうになって、けれど声に出して笑ってしまった。

その様子を空は温かく愛おしそうに見つめる。


「……文化祭、当日ちょっと覗きに行ってもいい?」


『えっ、うん。……じゃあ私も行く、空のクラス。』


「ほんと?嬉しい、準備頑張るわ」


その言葉に、雫の心は静かに弾んだ。