この命のすべてで、君を想いたい

夏の終わりが遠ざかり、

涼しい風が校舎を通り抜ける。




秋の文化祭が近づくにつれて、


学校全体が少しずつ浮き立った空気に包まれていた。




雫のクラスは小さな喫茶店を出すことになっていて、
教室には布やペンキの匂いが満ちている。



「雫〜、このリボン結びお願い!」


『うん、わかった』

椅子に飾りを結びながら、雫は何気なく窓の外に目を向ける。


校庭では、空のクラスが焼きそばの屋台の準備をしていた。


エプロン姿の空は、
どこか楽しそうに作業をしていて、
その笑顔を見た瞬間、雫の胸がじんわりと温かくなる。


けれど同時に、胸の奥がくすぐったくて、視線をそらしてしまう。