この命のすべてで、君を想いたい

放課後、教室での用事を済ませた二人は、一緒に校門を出て帰り道を歩き始める。



「雫、今日の授業どうだった?」


『うーん……まあ、普通かな』


空はにこっと笑いながら、さりげなく雫の肩に触れる。雫は思わずドキッとする。


『……でもお昼は嬉しかった』


空は肩の力を抜いて、自然に笑う。



雫は少し赤くなりつつも、その笑顔を見て胸が温かくなる。



道沿いの花壇を見ながら、空が小さく指を指す。


「この花、雫に似合いそうだなって思って」


『え、どういう意味?』


「うーん……雫みたいに、可愛い感じ」


雫は照れくさくてつい俯くが、心の奥では嬉しさが広がる。




歩きながら、
二人は今日の出来事や友達の話を軽く交わす。


「ねえ、明日も少し会える?」

『うん……たぶん』

空はその一言に満足そうに微笑み、
自然に手を差し伸べる。


雫は一瞬迷うが、そっと手を握り返す。

「よし、じゃあ明日は俺が迎えに行くね」


『……うん』


そのやり取りだけで、

二人の間には静かで

心地いい安心感が流れる。



雫は少しだけ背伸びしたような気持ちで、手をつないだまま家路につくのだった。