この命のすべてで、君を想いたい

花火の音が遠くで弾ける。
世界が静まり返ったように感じるのに、心臓の音だけが響いていた。


空の手がそっと頬に触れ、雫の体温を確かめるように優しく包む。


触れているのはほんの一瞬なのに、
永遠みたいに長く感じた。


唇が離れたあと、二人の間には少しの沈黙が落ちた。



「……ごめん、我慢できなかった」
空の声は小さくて、少しだけ震えていた。


雫は首を振る。
「……ううん、嬉しかった」


そう言って笑うと、

空も安堵したように息を吐いて、


「そっか……よかった」

と優しく微笑んだ。



遠くで、最後の花火が夜空に咲いた。


音より先に光が広がり、二人の影を寄り添うように照らす。



その光の中で、雫は思う。
――この人となら、どんな未来でもきっと大丈夫。


空もまた、繋いだ手を見つめながら、
そっと指を絡めた。



「……帰ろっか」


『……うん』


二人の指は、離れることなく。
夏の夜の風が、静かに二人を包んでいた。