廊下を並んで歩くと、沈んだ夕日の光が床を赤く染めていた。


靴の音が二人の間で響いて、妙に静かだ。




空が優しく雫を覗き込む。


「俺に会えないと、寂しい?」


『っ……別に……』


言った瞬間、自分の心臓の音が耳に響く。


ほんとは、寂しいのに……素直に言えない……

そんな自分がもどかしい。


「ふーん、そうなんだ」
空はにこにこ笑いながら、それ以上追及しない。


けれど、その目の奥には「分かってるよ」がある。
雫は視線を逸らして、少し俯いたまま小さく息を吐いた。