この命のすべてで、君を想いたい

土曜日。朝からLINEの音が静かな家に響く。

「雫、暇?」

『うん、特に予定ない』

「じゃあ、海に行かない? ほら、あの場所」


胸が跳ねた。泣きあったあの場所、でも今度は笑って行けそうな気がした。


海辺は夏の匂いがして、波の音が心地よく耳に届く。


空はペットボトルを差し出して、

「暑いから、熱中症にならないように」と冗談めかして言う。


思わず笑ってしまい、二人の距離がぐっと近づく。



砂浜を歩きながら、空は私の手をそっと握った。


涙はもう出なかったけど、胸の奥がじんわり熱くなる。


波打ち際で二人並んで座ると、空はそっと肩を寄せてきた。
風が髪を揺らすたび、心がふわっと軽くなる。


「波の音、落ち着くね」

『うん、心が少しだけ、楽になる』


空の手が私の手をぎゅっと握り返す。
触れるだけで、心が温かく満たされていた。