放課後になると、校門で空が待っていた。


「一緒に帰ろ」

断る理由なんて思いつかなかった。


歩きながら、空は他愛ない話ばかりしてくれる。
昨日のテレビのこと、クラスでのちょっとした出来事。


その何でもない会話が、少しずつ日常の感覚を取り戻させてくれる。

次の日も、その次の日も、空はいた。

廊下の角、購買の列の後ろ、階段の踊り場。


どこにいても、不思議とすぐに見つけられる。



会えば笑って、他愛ない話をする。


それだけで、一日が少し明るくなる。