この命のすべてで、君を想いたい

次の日の放課後、
私は空と二人で並んで歩く。


校門を出てからずっと、言葉が見つからない。
何をどう話せばいいのか、頭の中で何度も整理しようとしても、うまく形にならない。

沈黙が続くたび、心臓の音がやけに大きく響く。


足元に伸びる影が、夕陽に溶けてゆく。
その影の隣に、変わらず静かに歩く空がいる。


何も言わず、同じ歩幅で寄り添うように並ぶ。
その優しさが、余計に胸を締めつけた。


家の近くまで来た頃、空がふと足を止めて、前を見つめた。


「……少しだけ、寄っていこうか」
視線の先には、あの日、二人が出会った海辺が広がっていた。


夕陽を映した波がきらきらと揺れ、風が頬を撫でる。


空はゆっくりと防波堤の上に腰を下ろす。
私もその隣に座る。


潮の香りと波の音だけが響く中、胸の奥がざわつく。

「……雫」
空が小さく名前を呼ぶ。
その声に促されるように、私は唇を開いた。


『――私ね、話すって言ってたあのこと……』


言葉が喉の奥で詰まる。
でも、逃げたくなかった。


この人にだけは、私のことをちゃんと言わなきゃと思った。