この命のすべてで、君を想いたい

放課後、空が少し距離を詰めて声をかける。

「雫、昨日のこと……今すぐじゃなくていい。雫が話したくなったら、聞きたいんだ」

その言葉に、胸の奥が少しだけ柔らかくなる。
無理に押さえつけられず、急かされず、ただ待ってくれるその態度が、ぎゅっと固まった心を少し溶かす。

でも心の壁はまだ厚く、関わりたくない気持ちも消えてくれない。


胸の奥がざわつく。
家での出来事――思い出すたびに胸が痛む。
黙っていても、心は重いまま。


話せば、空は離れていくだろう――
そう思うと、少しだけ決意が固まる。

手のひらが少し震える。声もかすれる。



『分かった、明日話す』

小さな声で震えながら、私は口を開く。

空は黙ってうなずき、じっと私の方を見つめる。
その目は責めず、遮らず、ただ受け止めるだけの温かさに満ちていた。

「分かったよ。また明日ここに来るね」

優しく笑って帰っていく空の後ろ姿に
胸の奥がぎゅっと締め付けられ、涙がこぼれそうになる。




話すのは辛い。
空と離れたくない。
でも、この優しさを抱えたままではいけない――そう思った。