雫との別れが終わり、部屋に戻った瞬間、
世界が急に音を失ったみたいに静かになった。


久しぶりに家に帰ってきた。
そのたったひとつの事実が、胸を深く抉った。



ソファに座り込むと、
雫がいない空間の冷たさが一気に押し寄せてきた。


逃げられないほどの喪失感が、胸に重く沈む。



『……雫……』

名前を口にした瞬間、
声が震えた。

情けないくらいに。


会いたい。


信じられないほど、
苦しいほど、
胸の奥がぎゅっと締めつけられるほど会いたい。


触れたい。

手を握りたい。


ただ隣にいてくれた、それだけのことが
もう叶わないなんて。



頭では分かってても、
心は全力で否定してくる。



会いたい。



会いたくて仕方ない。



気が狂いそうなくらい会いたい。