夕暮れの海辺。
波の音だけが、静かに耳に届く。


私は一人で、いつのまにか泣いていた。

少し離れた砂浜には、家族の笑い声が弾む。
楽しそうに遊ぶ声、楽しそうに笑う顔。


なんでこんな天気の悪い日に……?と思う。
でも、大事なのはどこに行くか、どんな天気かではなく、誰と行くかなんだろう。


そう思ったら、また私の気持ちは沈んでいく。








ポツポツと雨が降り出す。

少し先の家族は、雨に気づくと慌てて車へ戻って行った。

見ているだけで、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
どうして私は、こんなにも孤独なんだろう——。





今日はやけに寂しい。
いつもはこんなことで泣いたりしないのに。

きっと、お気に入りの傘が壊れたせいだ。
私はそう自分に言い聞かせるように言う。





雨も強まってきたのでもう家に帰ろう、
そう思い、立ち上がろうとした時だった。