だから、せめて。



せめて願わせてほしい。



雫が向かった先が真っ暗なんかじゃなくて、



痛みも、怖さも、孤独も一つも残ってない場所でありますように。




雫が最後に言った
「幸せだった」の気持ちが、

どこかでずっとあたたかく続いていますように。




もし運命がどこかでまた交差するなら、

もう二度と雫を泣かせたくない。

もう絶対に傷つけさせない。

絶対に守りたい。



その願いで胸が張り裂けそうなのに、
それでも、願わずにはいられなかった。






俺は最後まで、
雫の小さな手を離せずにいた。