この命のすべてで、君を想いたい

空の手に触れているはずなのに、
その温度が、だんだんわたしの指先まで届かなくなってきていた。

触れているのはわかる。
でも、前みたいに“温かい”と感じるまで時間がかかる。

その遅れが、いやでも体に現実を突きつけてくる。

――ああ、本当に、終わりなんだ。

胸の奥で、静かにそう呟く自分がいた。



呼吸をひとつするたびに、

肺の奥がぎゅうっと軋んで、
吸ったはずの空気がうまく広がらない。



空は気づいていた。



わたしがほとんど声を出せないこと。



昨日もずっと呼吸が浅くなっていること。




指先が何度も震えて、空の手をしっかり握れないこと。

だから何も言わなかった。

言葉は、終わりに形を与えてしまうから。