この命のすべてで、君を想いたい

空は深く息を吸った。

喉が震えて、
声にならないほど苦しいのに、





それでも――
雫のために、言わなきゃいけない言葉があった。



喉が張りつくみたいに乾いて、
声を出す直前の一呼吸が、ひどく長く感じた。



けれど——
雫のあの弱い手の温度を思い出すだけで、
迷いは静かに形になっていった。

『……先生』



かすれた声が、やっと空気に触れる。

『雫を……苦しませたくありません。』




その一言を口にした瞬間、
胸の奥がぐっと潰れるように痛んだ。



医師は目を伏せて、一度うなずいた。
その表情だけで、すべてを理解してくれたことが伝わる。



だからこそ、続けなきゃいけなかった。



『心臓が……止まりかけても無理に戻さなくていいです。人工呼吸器も……つけないでください。』



言葉にするたびに、



自分が雫の“終わり”を肯定してしまっているようで


吐き気がするほどつらかった。




雫の全てが胸の内側で震えて、
背中を押し続けていた。



『……雫は、怖がらないように。ちゃんと……ちゃんと、俺がそばにいますから。』




最後の言葉を絞り出すと、
足元がぐらっと揺れたように感じた。




生きるか死ぬかの選択じゃない。
“どう終わらせるか”を決めたのだと思ったら、


心が軋んでたまらなくなる。