この命のすべてで、君を想いたい

「……青葉さん。急がせて申し訳ないんですが、雫さんの状態からすると、判断は……今日のうちに必要になります。」




逃げられない。

覚悟を問われている。




命の終わりを
誰よりそばで見てきた自分が、
今ここで決めなくちゃいけない。



頭が真っ白なのに、
心はぐしゃぐしゃで、
それでも――雫の顔が浮かぶ。



夜、弱い力で抱きついてきた雫。



「終わってほしくないよ…」と泣きそうな声で言った雫。

あの温度、あの呼吸。

どれだけ思い出しても、
どうしようもなく愛しくて、痛かった。


終わらせたくない。
まだまだずっとそばにいたい。


でも...

胸の奥で、呟く声があった。



雫を苦しませるために、
僕はここにいるんじゃない。



その瞬間、
医師の問いが重くのしかかったまま、
呼吸がゆっくり整っていくのがわかった。




「……青葉さん」
医師の声が静かに待っている。

僕は唇を噛みしめて、
視線を落とし、
言葉を探し続けた。




雫の最期を――
どう迎えさせるのか。


今、その答えを出さなきゃいけない。


病室の扉の向こうには、
まだ雫がいる。



弱い呼吸で、

俺の名前を呼ぼうとしているかもしれない。




あの部屋に戻る前に、
“命の結末”を決めなくちゃいけない。




胸が裂けるほど痛いのに、
誰にも委ねられない選択だった。