空は、私が落ち着くまで、
ただそばに立っていてくれた。



何も言わず、私はただ泣きながら空の足元を見つめる。



「……座ろう」

先に沈黙を破ったのは空だった。
手を取り、そっとソファに誘導してくれる。


隣に腰を下ろすと、空はまだ何も言わない。
でも体を寄せ、軽く抱き寄せてくれた。



その温もりが、じわりと胸に染み渡る。
泣き疲れた体の力が、少しずつ緩んでいくのを感じた。


しばらくの間、二人はただ静かにそこにいた。


雨の音だけが遠くで響く中、
空の呼吸や体温を感じながら、私は少しずつ落ち着きを取り戻す。


やがて、空は小さな声で、でも確かに聞こえるように言った。

「大丈夫だよ……大丈夫」


その言葉に、胸の奥に残っていた痛みが、ほんの少しだけほぐれた気がした。