この命のすべてで、君を想いたい

雫の手を包んだまま、
どれくらい時間が経ったのかもうわからなかった。


朝の光だけが、残酷に薄く広がっていく。
雫の手は冷たくて、細くて、
握っているはずなのに、いまにも消えてしまいそうだった。



そのとき――

「青葉さん、少し…よろしいですか」




病室の入口で、担当医が静かに声をかけた。



その声音だけで、胸の奥がざわっと波立つ。



“雫の前で言えないことだ”と、すぐにわかった。




離れたくなくて、
雫の手を一度強く握りしめる。


その微かな返事のような指の動きが、逆に胸をえぐった。


『…すぐ戻るからね、雫』



小さく声をかけて、
そっと手を布団に置く。



歩き出した瞬間から、
心臓が嫌な音を立てていた。



医師は病室の外に出ると、
声を落として言った。



「……今朝から血圧がかなり低下しています。脈も弱く不安定で、尿もほとんど出ていません。」


頭の奥がぐにゃりと歪む感じがした。

わかってはいた。


雫の呼吸の浅さも、体の軽さも、全部知ってた。


だけど、医師の口から現実として突きつけられると、
喉の奥がきゅっと詰まる。