目を開けた瞬間、胸の奥がじわりと痛んだ。



夜が終わってしまったんだ……と、体より先に心が理解してしまったからだ。


腕の中には、まだ空がいる。



だけど、昨夜のあの強さはもうない。



わたしは弱ってしまった腕を、そっと空の背中に添えるだけで精一杯だった。




空は気づいていたのか、動かないまま静かに言うでもなく、



まるで「まだ大丈夫だよ」と体で伝えるように、呼吸をゆっくり整えていた。



カーテン越しの朝が、うっすらと部屋を青く染めていく。


それが、やけに残酷に思えた。


夜の中では、終わりを少し遠くに置いておけたのに


朝は、すべてをはっきりさせてしまう。




わたしは空の胸元に顔を寄せて、耳をすませる。



生きている音。温度。



あと何度、この近さを感じられるんだろう。


考えてしまう自分が、嫌になるけど、止められない。




空はそっと腕を解いて、わたしの顔を覗き込んだ。



その仕草が、優しい分だけ痛かった。