この命のすべてで、君を想いたい

『……今日、こっち来て……いっしょに寝てほしい』





言葉を聞いた途端、時間が一瞬止まった気がした。




雫は言葉を選んでいなかった。




心の奥からそのまま出てきたみたいな、弱くてまっすぐなお願い。



胸の深いところがきしんで、息を呑む。




“最後の夜になるかもしれない”
その予感が、喉の奥に重たく落ちてくる。




「……うん。わかった」




声が少し震えたのを自分で感じたけれど、
雫は気づかないふりをしてくれた。




ベッドの端に座ると、沈む重みで布団がわずかに揺れた。






それだけで雫の目に涙が浮かびそうになるのが見えて、胸が苦しくなる。





雫が腕を伸ばす。



細くて、力が入ってなくて、触れた瞬間に壊れそうな腕。




俺の身体を抱き寄せようとするその動きが、

あまりに弱くて、切なくて、胸が潰れそうだった。




俺はゆっくり雫の背に腕を回す。




抱きしめるというより、落ちていかないように支える抱擁。




雫の呼吸が浅くなるたび、


背中が細かく上下する。






そのたび、俺の指が勝手に雫の背をゆっくりさすっていた。





落ち着かせようとしてるんじゃない。

ただ――少しでも触れていたかった。


触れたそばから消えてしまいそうな温度で、

それが怖くて、たまらなかった。