『……ねぇ』
声が震えた。
二人が同時にこっちを向く。
『ねぇ……あの雫、見て……ほんとに……ほんとに怖かった……』
言った瞬間、涙が止まらなくなった。
堪えてたものが全部あふれるみたいに、声まで震えてしまう。
『あんな痛そうで……眠そうで……
空がいなかったら絶対もっと苦しかったし……こんな……毎日、こんなに弱っていって、……雫が……いなくなるのが……怖い……っ』
最後は言葉にならず、しゃくり上げた。
蓮太郎がすぐ横に来て、背中にそっと手を置く。
その後手をぎゅっと握ってくれる。
「怖いよな……俺も……めっちゃ怖いよ、正直」
裕大も反対側に立って、目を赤くしながらうなずいた。
「沙月だけじゃねぇよ。俺だって……怖い、だけどまだ生きてる...だから……今は……」
裕大の声も少し震えている。
何度も目元をぬぐっていた。
三人とも、泣くのはきっと初めてだ。
『……うん……』
涙は止まらないけど、少しだけ呼吸が戻る。
雫の病室で必死に笑っていた二人が、
今こうして素直に泣いてくれるのが、
なぜかすごく救いになった。
「明日も、行こう」
裕大が小さく言う。
「うん。俺らもできることをしよう」
蓮太郎が続ける。
沙月は涙を拭きながら、深くうなずいた。
『……うん。雫のそばにいる。
こわいけど……でも、逃げたくない……』
帰り道に並んだ三人の影が、夕暮れの中でゆっくり揺れた。
雫の苦しむ姿は怖くて、胸が裂けそうだった。
でも――三人で泣いたおかげで、
少しだけ前を向ける気がした。
私が出来るのは、毎日会いに行って、雫に話しかけることだけ。
楽しかったことも、辛かったことも全部話して、
大好きな気持ちも伝えないといけない。
強くなりたい、
私は弱い。
