この命のすべてで、君を想いたい

「……みんな……ごめ……ね……」




その小さな声に、
沙月は胸の奥がぎゅうっと締めつけられた。





『謝んないで!大丈夫だから...』




ほぼ反射で声が出た。
笑顔は保てたけど、喉の奥が熱い。



泣くな、私
私が泣くのはずるい。おかしい。





雫も小さく反応して優しく笑う。



しばらくして、雫の眉がきつく寄せられ、体が震える。




「……痛っ……」




呼吸が乱れて、胸のあたりを押さえる。

「……っ……!」

その瞬間、全員が固まった。





空だけが反応が違う。



迷わず雫を支え、背中をそっとさすりながら声を落とす。




「雫、大丈夫。薬持ってくるから」





空はすぐに察して、ベッド脇にしゃがみ込み、背中をさすりながら囁く。





雫は小さくうなずき、震える手でコップを掴む。



空がそっと薬を口元まで運ぶ。





「焦らなくていいよ。ゆっくりで」




薬を飲むと、痛みは少しだけ和らぎ、雫は空に抱き寄せられながら、ほっと息をつく。


空が薬を飲ませるのを見て、

雫が小さく震えているのを見て、

胸の奥が冷たくなる。




裕大も蓮太郎も、顔色が変わっていた。





しばらくして痛みが引き始め、
雫は疲れ切ったように目を閉じた。




「……ごめ……ね……」



小さな声でも、沙月がすぐ反応する。





『謝らなくていいよ! 雫がいるだけで十分だって』




蓮太郎も裕大も頷き、笑顔でフォローする。





「そうそう、今日は雫と一緒にいるのが目的なんだから」





雫は小さくうなずき、またまぶたを閉じる。