少しずつ、痛みが波のように引き始める。
薬が効いてきた。




私は空の胸に額を預け、ほっと息を吐いた。




『……空……ありがとう……もう大丈夫』

「ううん。何回でも呼んでいいよ。俺、ここにいるから」



その言葉を聞くだけで、胸がじんわり温かくなる。


痛みはまだ残っていても、不思議と恐怖は薄れていく。

空が私をそっと寝かせ直して、毛布を整えてくれる。



手を握ってくれると、安心がゆっくりと体に広がっていく。




「眠っていいよ、雫」



『……そばに……いて……』




「いるよ。ずっと」



 その答えに包まれながら、私は静かにまぶたを閉じた。