この命のすべてで、君を想いたい

最初は軽い痛みだった。
けれど、それはすぐに強く、鋭く変わっていく。




喉がひゅっと鳴り、肺が苦しくて、息を吸うのが怖くなる。



痛い。

息ができない。

また、来た――。






胸を押さえた瞬間、




「……雫?」



隣で眠っていた空が、すぐに気づいた。



寝ていたはずなのに、私の苦しい呼吸だけで目を覚ます。




暗がりの中でも、空の手が私の肩にそっと触れる。



「大丈夫? 痛いの?」




うなずこうとしても、痛みで体が強張って、声が漏れるだけ。


「待ってて。レスキュー持ってくる」



空は静かに立ち上がり、ベッド脇の棚から薬を取り出す。



その動きが落ち着いているのに急いでいて、胸がきゅっとなる。



痛みは波のように押し寄せ、呼吸が浅くなるたび胸が焼ける。



「雫、少し起き上がろう。支えるから」




空が後ろから抱くように支えてくれ、私は弱い力で頷く。




手が震えてコップを持てない私の代わりに、空が薬を口元へ運んでくれた。


「俺が持つよ。雫はゆっくり飲んで」


優しさに胸が熱くなる。

薬を飲み込むと、喉がじんとし、ほんの少しだけ呼吸が入りやすくなる。




でも苦しさはまだ続いて、息のたびに胸が締めつけられる。




「大丈夫、薬すぐ効く。俺がいるから」




空が背中に手を添える。


痛みそのものは手で消えるわけじゃないけれど、背中をゆっくりさするその温もりが、恐怖だけは確かに和らげてくれた。




『…っ、は……ぁ……ぐるし……』




か細い声でも、空は聞き逃さない。




「ゆっくりでいいよ、雫。息は浅くていい。大丈夫」




空の声は震えていた。



怖いはずなのに、私より先に泣いたり動揺したりしない。




ただ、必死に私を支えてくれる。