この命のすべてで、君を想いたい

夕日がほぼ沈みかけていて、
屋上は少しずつ夜の色に変わりつつある。




二人の間にまた静かな時間が落ちた。
けどそれは重くなくて――


むしろあたたかくて、切なくて、確かで。






雫は胸の奥が柔らかく揺れるのを感じながら、

空の肩にそっと寄りかかった。






空の肩に寄りかかった後も、しばらく何も喋らなかった。



話したら崩れてしまいそうで、
でも沈黙は不思議なくらい心地よくて。

遠くで鳴る救急車の音だけが、現実を少し思い出させる。




沈む夕日を見つめながら、



胸の奥で浮かんでまた沈んでいく言葉があった。




でもずっと飲み込んできたそれは、今日はふわっと浮かんだまま消えなくて。


私はそっと空の袖をつまんだ。





『……空』


「ん?」



空は優しく返事をする。
すぐに言葉を急かしたりしない、いつもの空のまま。




私は小さく息を吸ってから、

落ち着いた声で、でも正直に言った。




『怖いとか……不安とか、あるよ。でもね……空がいてくれたら十分なの』




言ってから、ちょっとだけ恥ずかしくなる。

でも空は驚いたように目を瞬いて、すぐに笑った。



「俺も同じだよ。雫が……こうしてそばにいてくれるから、ちゃんと立ててる」




その言い方があまりにもまっすぐで、胸が温かくなる。




空は手を伸ばして、雫の髪をそっと撫でた。


指先の動きが優しすぎて、涙腺が少しだけ揺れる。


空の指先が髪をゆっくりと撫でるたびに、
胸の奥で固くなっていたものが少しずつほぐれていく。