この命のすべてで、君を想いたい

夕日の光の中で、
やっと言葉が零れはじめた――。




「……雫。
治療ね、続けるのが……もう難しいって」



声は静かで、優しいままだった。
でも、ほんの少し震えてた。




雫は驚かない。


どこかで薄々分かっていたから。




ただ、空がこんなふうに言葉を選ぶ姿が胸に響いて、返事がすぐに出てこなかった。






空はそれでも続ける。




「進行が……思ってたより早くて。
 今までの治療は、もう……身体の負担のほうが大きくなるって」





夕日の色が、まるで空の声みたいに少し落ちていく。





『そっか』




「それで……医師から、緩和ケア病棟の話が出て……」





空は一度、雫のほうを見た。


目が合うと弱く笑おうとするけど、
うまくできてなくて、余計に優しい。



雫は小さくうなずいた。





「うん」とも言っていないのに、


聞いて欲しいっていう空の気持ちごと受け取ったようで、


空はほんの少しだけ呼吸を整えて続けた。