この命のすべてで、君を想いたい

しばらくして――
空が、溶けるような声でぽつりとつぶやいた。




「……雫」





『うん』

名前を呼ばれるだけで、胸がじんとする。
雫はゆっくり顔を向けた。








空は、何かを選び取るように息を吸い、


視線を夕日に向けたまま、
またぽつりと落とす。




「聞いてきたことを話したい」



その言い方だけで、
雫は続きを聞く覚悟を静かに整える。



空はすぐ言葉を続けられない。


喉を何度も動かしている。



苦しそうなのに、言わなきゃいけないってわかってる顔。






雫はそっと空の腕に手を伸ばす。





『空、大丈夫。ゆっくりでいいよ』




その一言で、空の肩がふっと小さく落ちて、私は手をぎゅっと握る。