この命のすべてで、君を想いたい

閉館のアナウンスが流れ、空に感謝する。



『空、今日はありがとう。本当に助かりました。次のテストは絶対にいけると思う』




「いえいえ、お役に立てて嬉しいよ。」



空は子どものように無邪気に笑う。
それにつられて私も思わず笑ってしまう。


こんな感覚、沙月以外では味わったことがない。

玄関に向かうと、
窓の外では、しとしとと雨が降り出していた。




『……降ってるね』

「うん。傘、持ってきてない。」


『じゃ、入る? 二人でもギリいける』

私は空にもらった青空の柄の傘をさしながら言う。

『あ、知ってるか、元々空のだし』


「二人で入るの初めてだよ」


そう言いながら空がゆっくりと差し出された傘の下に入ってくる。



初めての相合傘--そう思った瞬間、空がそっと傘の持ち手に手を伸ばした。


一瞬、指が触れて心臓が跳ねる。



「持つよ。」


空は優しく持ち手を引き寄せ、包み込むように傘を握る。





私は何も言えず、少し高くなった青空をただ静かに見つめていた。



少し狭くて、肩が触れていたけど――
でも、不思議と嫌じゃなかった。



「静かだね」

『……なんか、こうやって歩いてると、安心する』




不意にでた言葉に、空は嬉しそうに頷く。




自分で発した“安心する”という言葉が、まっすぐ心に届く。


頬が少しだけ熱くなっているのに気づいた。