この命のすべてで、君を想いたい

こう思うのは何度目か分からない。

また出来ずに泣いてしまうかもしれない。
でもそれでもいい。


何度でも思えばいい。




泣かずに、雫の隣にいる。



今日の時間を、二人で穏やかに過ごす――それだけでいい。



雫は手を伸ばし、空の手を握る。



疲れ切った体でも、二人でいることの幸せが少しだけ伝わる。



言葉には出さなくても、
心の奥で決意は固い。





今日一日、二人で過ごす時間を大切にする――それだけを胸に刻んで。



それから数日、
雫の様子はゆっくり、ゆっくりと変わっていった。




話す声は前よりも少し弱くなり、


手を握る力も、気づけば日に日に軽くなる。




眠る時間はどんどん長くなって、



病室にいる空の声が届く前に、



まぶたがそっと落ちてしまうことが増えた。





空はそんな雫の隣に座り、


学校の帰りに見た景色や、


クラスのちょっとした出来事を静かに話す。





雫は「うん……」と返してくれる日もあれば、返事をする前に眠りについてしまう日もあった。