大丈夫じゃないのに……
喉の奥が痛いほど詰まる。
でも、涙は見せられなかった。
雫は自分のことで精一杯なはずなのに、まだ“俺を気遣って”苦しむから。
空はゆっくりと立ち上がり、布団を雫の肩までかけ直す。
冷えないように。
少しでも眠りが深くなるように。
「……ごめんな」
誰にも届かないほど小さく、
喉の奥で潰れた声。
泣かせてしまった。
苦しめてしまった。
何もしてあげられなかった。
それでも――
離れようとは、一度も思えない。
立ち上がると、視界がふっと揺れる。
ずっと泣きそうだったのに、
雫の前では泣けなくて、
胸の中で固まった何かが重石のように沈む。
病室のドアを閉める直前、空は一度だけ振り返る。
小さな体で、あんな大きな絶望を抱えて眠っている恋人。
守りたいのに、守りきれない。
その現実が胸をえぐる。
