雫の寝息が静かに、かすかに規則正しく響いていた。 泣き疲れたせいか、 まぶたはまだ赤く腫れたまま。 それでも、寝顔だけは驚くほど穏やかだった。 空はしばらくその寝顔を見つめていた。 目の下のうっすらとした影も、 細くなった指も、 薬の匂いも、 全部が愛しくて、全部が悔しい。 雫が眠るまで、ずっと手を握っていた手を、そっと、そっと離す。 触れていた部分がまだ温かい。 その温もりだけで胸が締め付けられる。