空はいつもどおりの優しい笑顔で言う。



「雫、来たよ」

その言い方が、まるでこれが永遠に続くみたいで──



だからこそ、雫は胸の奥で静かに泣く。





何度でも思ってしまう。




ごめんね空。
私はもう…永遠を返せないんだよ





その想いを喉の奥で押し込みながら、雫は微笑み返す。




いつも通りの時間はあっという間に過ぎていく。


面会の終わりが近づくと、
空は雫の毛布を静かに整える。


「…苦しくない?
なんかあったらナースコールすぐ押すんだよ」


雫は心配をかけたくなくて首を横に振る。



『うん、平気。空が来てくれたから、今日はすごく楽だった』





その一言で、空の胸は痛む。
痛むけれど、絶対に表に出さない。




「それならよかった。じゃあ、明日も来るよ」




扉が閉まって、空の足音が小さくなっていく。