少しの沈黙。
でも、その沈黙があたたかい。

私はストローを持つ手で、そっと空の袖をつまむ。



『……来てよかった。歩けてよかった』



「うん。めちゃ良い日」



『また……行けるかな』



「行けるよ。何回でもする。病院デート」



空が笑った。


その笑顔が、私の胸をぎゅっと掴む。



ほんとはもう自分でわかってる。


こうやって歩ける日は、どんどん少なくなっていくだろうって。



でも、今日は歩けた。



空と一緒に、屋上の風を感じて、ホットミルクを飲んだ。





それだけで十分すぎるほど幸せだった。