風が涼しくなってきたので、少し歩いて院内のカフェに入る。



小さな店だけど、
陽の光が差し込んでいて、まるで外デートみたいだった。



空が紙コップのホットミルクを私の前に置く。




「コーヒーはまだやめとこ。ミルクならちょっと飲める?」



『……ありがとう』



一口飲むと、また涙がにじんだ。




『……こういうの、普通のことなのに……すごく幸せ……』



「普通のこと大事だよ。雫となら、なんでもデートだから」



言いながら、空は何度も私の表情を確認する。



大丈夫か、疲れてないか、具合悪くなってないか。
本人は隠してるつもりだけど、全部伝わってくる。




『空、見すぎ』


「見てない」


『見てる。心配してる顔してる』


「……そりゃ心配するよ」