最近は調子が悪い日が続いていたけれど、
今日は、珍しく体が軽かった。



朝から胸の痛みも弱くて、呼吸もいつもより楽だった。




『……ねえ空、今日は歩ける気がする』



空はすぐに顔を上げて、私の手を優しく握る。



「ほんとに? 無理してない?」



『無理してないよ。今日は……行きたい』



「じゃあ、行こっか。ゆっくりでいいから」



点滴台を押しながら、病室を出る。


廊下には昼間の光が満ちていて、少しだけ普通の世界に戻った気がした。



エレベーターに乗ると、空は私の手を離さないままボタンを押した。




「屋上、行ってみる?」

『……うん。外、久しぶり見たい』