この命のすべてで、君を想いたい

「よし、今日はこれくらいにしておくか。雫、無理すんなよ」
そう言うと、裕大は立ち上がり、軽く手を振る。



『うん、ありがとう。来てくれて嬉しかったよ』
雫は微笑みながら返す。




「じゃあな。また来るから」
裕大は最後に軽く笑って病室を出ていく。



扉が静かに閉まる。



残された雫のベッドは、少しだけ寂しくて、でも暖かい余韻に包まれていた。




――みんなと過ごした時間、声、笑顔。
それがまだ、胸の中で静かに響いている。



雫は窓の外をぼんやり眺めながら、深く息をついた。



今日の一瞬一瞬を、ちゃんと覚えておこうと思った。