この命のすべてで、君を想いたい

裕大はふっと息をつき、雫を見つめた。


「……前より、ちょっと元気そうだな」




『みんなに会えたからだよ』


雫は軽く笑って答えた。



「……そうか。俺じゃ足りなかったか〜」



裕大は少ししょんぼりしたように言う。




『そんなことないよ』


雫は慌ててそう言う。


「冗談だよ」


雫が笑うと、裕大もすぐに笑顔になる。

二人の間に、ふわっと柔らかい空気が流れた。



小さな冗談や笑いが、重たくなりがちな病室の空気を少しずつ和ませていく。



長く沈んでいた時間のあと、こうして普通に笑える瞬間が、何より愛おしく感じられた。