その日を境に、放課後の風景が少し変わった。


沙月が蓮太郎くんと付き合い始めて、二人が一緒にいる時間が増えた。



そして、その横にはよく空もいて、食堂では毎日五人で一緒にご飯を食べるようになっていた。


「雫、今日もあのプリン?」


『うるさ〜好きなんだからいいでしょ。』


そんな他愛もないやり取りが、少しずつ日常になっていった。


沙月が蓮太郎に向けるまっすぐな笑顔を見て、
雫は少し羨ましさを覚える。


誰かに向けて自然に笑えること。
誰かのそばにいて安心できること。
――そんな気持ち、しばらく忘れていたから。